YAMASHITACHOU CRONOMETRO

SAUCE DEVELOPMENT 所属 TTスペシャリスト見習いのBlog

第7回 JBCF タイムトライアルチャンピオンシップ

今年のリザルトサマリーとタイムトライアルの科学(入門編)

タイムトライアルスペシャリスト見習いの自分にとって、数少ないJBCFでのガチンコタイムトライアルレースが今年も開催されました。
会場は例年通り、栃木県・群馬県・埼玉県・茨城県にまたがる渡良瀬遊水地、一周5.3kmのレース。

  1. 2015年:7分11秒 E3 5位
  2. 2016年:7分07秒 E2 3位
  3. 2017年:7分02秒 E1 11位

毎年速くなっているので出力も伸びていると思うでしょう?
でも実は2015年が一番出力が高く、※1 ※2 ※3

  1. 2015年:7分11秒 E3 359w
  2. 2016年:7分07秒 E2 351w
  3. 2017年:7分02秒 E1 354w

だったりする。
※1 多少の誤差は有り
※2 僕のパワーメーターはややHappyな傾向があると思います
※3 筆者は身長180cm体重70kg

つまり、タイムトライアル競技は出力もとても大事だけれども、同時に空力面であったり装備であったり、ちょっとした走り方だったりといった要素がとても重要で、それをどれだけ細かく日々詰めていけるかがとても重要という事。

  1. 2016年:7分07秒 15年からの変更点:フォームを大幅に改善、特に肘置き位置を3cm下げた
  2. 2017年:7分02秒 E1 354w 更にフォームを改善、首・肩周りに柔軟性を持たせ、体側を合わせるイメージで頭を下げた

フォームの前年比改善ポイントは上記の様な感じで機材面でいくと

  1. 2015年:7分11秒 Canyon Speedmax CF SLX / zipp404-25mmローハイト(ホイールトラブル) 
  2. 2016年:7分07秒 リアホイールがshimano pro ディスクホイールに
  3. 2017年:7分02秒 前輪がHedのバトンホイールに、RIDEAのビッグプーリー化、ザイコーチェーン化

というのがタイムに影響が出る部分での機材変遷。
他にタイムへ影響がありそうな変更点というと、

  1. 2015年:7分11秒 スタート直後から突っ込み気味で入り後半タレ気味
  2. 2016年:7分07秒 同上
  3. 2017年:7分02秒 初っ端の直角コーナーまでは兎に角抑え目回転重視で入り、後半で踏む意識強めでオールアウト

ざっとタイムに寄与しそうな説明変数群を書き出してみた。
棚卸してみてふと思ったのが「タイヤの種類と空気圧」はデータ取っておくべきだったなーと。(気圧も寄与度高いから勘案した方がいいか)
ロードレースとはまた違う科学的アプローチがあるのがタイムトライアルの魅力ですね。
ちなみに…
多くのプロチームの選手はベロドロームやCFD解析だったりを駆使し、CdA値の最適化や、実コースで風や登坂状況と選手のプロファイルをベースに最適解を導くシミュレーション等、発展的なアプローチを日々実践しているそうです。

フォームと出力を軸にゴールタイムを見る

では実際に今回渡良瀬を走った選手のフォームを見てみたい。
(岡元様写真お借りします)

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左から、

  1. E1/11位 SAUCE DEVELOPMENT 有益選手 /180cm
  2. E1/2位 イナーメ信濃山形-EFT 河田選手 / 168cm
  3. JPT/15位 VC Fukuoka・サイクルフリーダム 設楽選手 / 180cm

である。

設楽選手はJPTで3周なので条件が違うものの非常に空力が良い事で有名なのでリファレンス的に混ざって貰った。

  1. 有益選手 : 7分02秒 / 354w
  2. 河田選手 : 6分53秒 / 363w
  3. 設楽選手 : 7分03秒 / 325w ※3周回の1周目

装備条件が近いのでフォームに絞って見てみよう。
まず特筆すべきは設楽選手の圧倒的な頭の位置の低さ(赤ライン)、そして青ラインで表現しているのが腹部への空気が流れるポケットの小ささ。
ここは正面から風を受ける際に風が流れ込んでパラシュート効果を生むので小さい方が優位(のはず)

逆に河田選手は位置やエアポケットはまだまだ改善が可能(つまり伸びシロいっぱい!)。
それでも高い出力と小柄な体格(で結果的に少ない正面の投影面積)もあって7分を切るタイムを叩き出している。
設楽選手並みに空力が良くなったら40秒台も狙えるのではないだろうか?(もちろん呼吸とのトレードオフではあるが)

まとめ
タイムトライアルに興味を持つ人も増えてきた印象の今日この頃ですが、この記事を読んでタイムトライアルの奥深さにはまってくれる人が一人でも増えたなら幸いです。